Coxの比例hazard modelによる胃癌の予後因子の検討

板東　隆文, 豊島　宏, 磯山　徹

日赤医療センター消化器外科

　進行胃癌の予後因子を検討する目的で，682例の進行胃癌を対象に単変量解析と多変量解析を行った．予後因子として年齢，性別，腫瘍径，肉眼形態，漿膜侵襲，リンパ管侵襲，静脈侵襲，肉眼的腹膜播種，肉眼的肝転移，組織分類，組織学的リンパ節転移，組織学的進行度，組織学的根治度の13項目を選んだ．単変量解析では，年齢，性別，組織分類を除く10因子の階層別の5年および10年累積生存率に有意差を認めた．多変量解析はCoxの比例hazard modelを用い，stepwise法の結果，有意確率の順に，根治度，漿膜侵襲，リンパ管侵襲，リンパ節転移，静脈侵襲，腫瘍径の6変数が独立した進行胃癌の予後因子として選択された．Hazard ratio（予後決定因子の重み）は漿膜侵襲1.67，根治度1.53，リンパ管侵襲1.33，リンパ節転移1.19，静脈侵襲1.16，腫瘍径1.04の順であった．これらの予後因子とその重みは臨床的に十分納得できる．

索引用語
advanced gastric cancer, prognostic factor, univariate analysis, multivariate analysis, Cox proportional hazards model

別刷請求先
板東　隆文　〒150　渋谷区広尾4-1-22　日赤医療センター消化器外科

受理年月日
1993年7月7日

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