原著
肝硬変例に対するカフェインを用いた肝ミクロゾーム(P4501A2)機能の測定
山本 祐二, 石川 詔雄, 長田 明, 辻 勝久**, 大塚 雅昭, 田中 栄之介*, 渋谷 進, 轟 健, 高瀬 靖廣, 竹島 徹**, 深尾 立
筑波大学臨床医学系外科, 同 社会医学系*, つくばセントラル病院**
肝microsomeのcytochrome P450系のうち,肝小葉中心性に局在するlA2で脱メチル化されるcaffeine(CA)を,2 mg/kg経口投与することで,肝硬変32例,対照として胆石症10例の肝機能を検討した.健康成人男性5例の検討で,CAの血中濃度は,経口投与後,直線的に減少,代謝産物は4~6時間で最高値となり,paraxanthine(PX)が優位であることより,CA投与後4時間の血清PX/CA値を代表値とした.このPX/CA値とCA clearance(CL)とは,r=0.852の有意(p<0.0001)の高い相関を示した.PX/CA値は,肝硬変例では,0.17±0.16で,対照例の0.44±0.13と比較して,有意に低下していた(p<0.0001).PX/CA値は,albumin(ALB),choline esterase(CHE),indocyaninegreen retention in 15 minutes(ICGR15)と高い相関を示した.肝microsome機能を反映するCA負荷試験は肝機能の定量的評価に有用である.
索引用語
caffeine, cytochrome P450, hepatic functional reserve, hepatectomy, liver cirrhosis
日消外会誌 26: 2584-2588, 1993
別刷請求先
石川 詔雄 〒305 つくば市天王台1-1-1 筑波大学臨床医学系
受理年月日
1993年7月7日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|