原著
下部直腸癌に対する術前高線量率腔内照射の臨床的病理組織学的効果と副作用の評価
寺内 一雄
兵庫医科大学第2外科(主任:宇都宮譲二教授)
直腸癌35例に対し,術前照射療法として,高線量率腔内照射を行い,有用性と適正条件を検討した.内視鏡的には30 Gy以上の照射例において約半数に著効を認め,組織学的照射効果(大星・下里)はIIB以上の著効例が30 Gy照射群で68.8%,40~60 Gy照射群で75.0%,80 Gy照射群で76.9%であった.肛門周囲皮膚炎は16~20 Gy照射では認められず,30 Gy照射で16例中3例,40~60 Gy照射で4例中1例に認めたが比較的軽症であった.しかし80 Gy照射では13例中5例に認め,そのうち3例は肛門切除を余儀なくされた.術前高線量率腔内照射の至適条件は30 Gy,術前14日前に行う方法であると考えられた.術後3年局所再発率は35例中1例(2.9%),遠隔再発率は肝転移が1例(2.9%)であり,教室におけるそれ以前の下部直腸癌の3年局所再発率の19.6%と比較してみても本法は有望な方法と考えられた.
索引用語
rectal cancer, preoperative radiotherapy for rectal cancer, intraluminal brachytherapy, high dose rate, remote afterloading brachytherapy
日消外会誌 26: 2632-2643, 1993
別刷請求先
寺内 一雄 〒663 兵庫県西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学第2外科
受理年月日
1993年6月14日
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