症例報告
後腹膜気腫像から診断された十二指腸憩室穿孔の1例
三輪 博久, 松浦 多賀雄, 北原 浩, 青木 重憲, 篠崎 伸明*, 渡部 和巨*, 佐伯 典之*, 前川 貢一*, 鈴木 隆夫*
茅ケ崎徳洲会総合病院外科, *湘南鎌倉病院外科
腹部X線と腹部CTから後腹膜気腫を診断された,十二指腸第3部憩室穿孔の1例を経験した.症例は39歳の主婦で,右側腹部痛出現し,腸閉塞が疑われ入院した.保存的に加療されたが,第3病日には体温38℃,白血球数15,500/mm3,C反応性タンパク(CRP)27.3 mg/dlと著名な炎症所見を呈し,腹部単純X線および腹部CTで後腹膜気腫が認められ,消化管穿孔が疑われた.手術所見では,後腹膜脂肪組織に気腫と炎症性浮腫状変化が認められた.右側結腸を内側に脱転すると,十二指腸第3部の直径約1 cmの憩室が穿孔し,直径約4 cmの黄白色調の膿瘍を形成していた.憩室を切除せず十二指腸腔内に翻転埋没し,Z縫合を加えた.膿からはγ-ストレプトコッカスが検出された,回復は良好で術後17日で退院した.本邦では十二指腸憩室穿孔はこれまでに15例報告されているが,すべて第2部憩室であり,検索しえたかぎりでは本例が本邦第1例目の第3部憩室穿孔例である.
索引用語
perforation of duodenal diverticulum, pneumoretroperitoneum, retroperitoneal emphysema
日消外会誌 26: 2653-2657, 1993
別刷請求先
三輪 博久 〒253 茅ケ崎市幸町14-1 茅ケ崎徳洲会総合病院外科
受理年月日
1993年7月7日
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