症例報告
胃内腔に穿通し消化管出血を来した肝外発育型肝細胞癌の1例
玉置 陽司, 田伏 洋治, 佐々木 政一, 中塚 久仁英, 岩倉 伸次, 下村 知雄
国立南和歌山病院外科
胃内腔に穿通し消化管出血を来した,非常にまれな肝外発育型肝細胞癌の1例を経験したので報告する.患者は66歳の男性で,吐下血を主訴に近医を受診した.上部消化管X線検査および内視鏡検査では胃穹窿部から体部後壁にかけ巨大な隆起性病変として,CTでは最大径13 cmの腫瘤陰影が肝外側区域下面に接して認められた.胃粘膜下腫瘍からの出血と診断され手術目的で当科入院となった.入院時,貧血著明で緊急手術を施行した.開腹すると腫瘍は肝外側区域と胃体部後壁の間にあり,腫瘍の一部は肝外側区域下面に浸潤しているようにみえた.胃全摘,脾摘に加え肝外側区域切除を行った.組織学的検査の結果,腫瘍は肝外側区域から肝外発育し,胃内腔に穿通したEdmondson III型の肝細胞癌であった.
索引用語
extrahepatic-growing hepatocellular carcinoma, gastrointestinal bleeding, penetration into the gastric lumen
日消外会誌 26: 2663-2667, 1993
別刷請求先
玉置 陽司 〒646 田辺市新庄町滝内2974 国立南和歌山病院外科
受理年月日
1993年7月7日
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