症例報告
胃・十二指腸と結腸間の瘻孔を合併したCrohn病の3治験例―とくに外科治療について―
児山 香, 佐々木 巌, 舟山 裕士, 内藤 広郎, 神山 泰彦, 高橋 道長, 柴田 近, 瀬上 秀雄, 松野 正紀
東北大学第1外科
上部消化管と下部消化管に瘻孔を形成したCrohn病を3例経験したのでその外科治療について検討した.瘻孔の部位は十二指腸・横行結腸瘻2例,胃・結腸瘻1例であり,術前療法は全例に中心静脈栄養が施行され,うち2例に薬物療法が行われた.術前治療により体重,血清総蛋白に改善が認められた.International organization for the study of inflammatory bowell disease assessment(以下IOIBD)1)は3にとどまり瘻孔の完全閉鎖は認められず,全例狭窄を合併していたため外科的治療を行った.術後は全例経口摂取可能となり現在瘻孔の再発も認められず完全に社会復帰している.保存的治療で瘻孔や狭窄症状など改善が認められない場合は,積極的に外科的治療を考慮すべきであると考えられた.
索引用語
Crohn's disease, gastro-colonic fistula, duodeno-colonic fistula
日消外会誌 26: 2673-2677, 1993
別刷請求先
児山 香 〒980 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学医学部第1外科
受理年月日
1993年6月14日
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