虫垂のgoblet cell carcinoidの1例

椎木　滋雄, 渡辺　哲夫^＊, 岩垣　博巳^＊＊, 森　雅信^＊＊, 折田　薫三^＊＊

鳥取市立病院外科, 渡辺胃腸科外科^＊, 岡山大学第1外科^＊＊

　今回われわれは虫垂のgoblet cell carcinoid（杯細胞カルチノイド）の1例を経験したので，若干の文献的考察を加え報告する．症例は62歳の男性．急性虫垂炎の診断で虫垂切除術を施行した．病理診断は当初粘液癌と考えられたため，後日，右半結腸切除を追加した．しかし，組織学的に再検討を行ったところ，goblet cell carcinoidと改めて診断された．術後経過は良好で，5年を経過した現在，再発の徴候はみられない．
　本腫瘍は臨床的に急性虫垂炎と診断されることが多く，組織学的に粘液産生性腺癌との鑑別が重要であるとされる．切除虫垂の組織学的検索の重要性が認識された．

索引用語
goblet cell carcinoid, carcinoid of the appendix

別刷請求先
椎木　滋雄　〒680　鳥取市幸町71　鳥取市立病院外科

受理年月日
1993年7月7日

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