症例報告
腹部消化器外科手術後の深在性真菌症10例の検討―とくに易感染指数について―
浅沼 義博, 柴田 裕, 安藤 秀明, 佐々木 範明, 斉藤 孝, 小山 研二
秋田大学第1外科
消化器外科手術後に発生した深在性真菌症10例について,易感染指数からみた病態の把握と,Candida detection system(CAND-TEC)によるCandida抗原価の意義を検討した.白血球数から算定した易感染指数は,1例のみが54と高値であったが,ほかは20以下であった.すなわち,白血病などに合併する真菌症では,易感染指数が高いことから宿主の免疫能の低下が感染の主因とされているが,手術後では腸管損傷,組織損傷によって感染の機会が増えることが真菌感染の主因と考えられた.CAND-TEC値は全例で2倍以上陽性であり生存した7例で陰性化したが,死亡した3例では不変ないしは悪化した.したがって,CAND-TEC値は真菌症の診断と治療効果の判定に有用であった.
索引用語
deep fungus infection, infectious risk index of the fungus
日消外会誌 26: 2687-2691, 1993
別刷請求先
浅沼 義博 〒010 秋田市本道1-1-1 秋田大学医学部第1外科
受理年月日
1993年7月7日
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