症例報告
4臓器4重複癌(乳癌,子官体癌,大腸癌,胃癌)の1治験例
長田 啓嗣, 岡島 邦雄, 山田 眞一, 磯崎 博司, 水谷 均, 千福 貞博, 田口 忠宏
大阪医科大学一般・消化器外科
約16年間の経過で,乳癌,子宮体癌,大腸癌,胃癌の4臓器4重複癌が発生した1症例を経験した.患者は64歳の女性.家族歴として,4人兄弟中3人に癌疾患を認めた.48歳時右乳癌,54歳時子宮体癌にて根治手術を受けた.今回心窩部不快感および黒色便を主訴として来院した.大腸癌および胃癌の同時性重複癌の診断のもと,両癌ともに絶対的治癒切除を施行した.本邦の4臓器4重複癌の臨床報告16例のうち全癌切除しえた症例は7例(43.8%)であった.臓器では胃,大腸が多く,癌罹患後は再発転移のみならず,重複癌の発生にも十分注意していくことが肝要と思われた.
索引用語
quadruple cancer, radical operation
日消外会誌 26: 2701-2705, 1993
別刷請求先
長田 啓嗣 〒569 高槻市大学町2-7 大阪医科大学一般・消化器外科
受理年月日
1993年7月7日
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