原著
右側結腸癌のリンパ節転移様式の検討―癌腫占居部位および血管分枝状況との関連性―
高島 茂樹, 冨田 冨士夫, 秋山 高儀, 後藤田 治公, 桐山 正人, 斎藤 人志, 小坂 健夫, 喜多 一郎, 木南 義男*
金沢医科大学一般消化器外科, 同 総合医学研究所*
右側結腸癌109例を対象にリンパ節転移状況を検討し,以下の結果を得た.1)採取リンパ節総数は7,664個,1症例あたり平均70.3個で,転移率は49.5%,転移度は3.4%であった.2)右結腸への動脈分岐は回結腸,右結腸および中結腸動脈が独立して分枝する標準型は47.7%のみであった.3)肉眼判定と組織学的所見ならびにリンパ節長径と転移度の検討から肉眼判定の困難性が示唆された.4)転移率は癌腫部位に関係なく腫瘍近傍リンパ節で最も高く,次いで中枢側転移が高率で,主幹動脈に向かう流れが優位を占めた.なお,腸管軸方向転移は癌腫縁より最長10 cmに限られていた.5)癌腫部位からみた中枢側転移は盲腸および上行結腸口側1/3の癌では回結腸動脈,右横行結腸癌では中結腸動脈領城が主で,他の上行結腸癌では動脈分岐状況に左右され,3動脈にまたがって転移がみられた.6)盲腸および同部の浸潤上行結腸癌の3例で下大静脈前面,外腸骨動脈周囲リンパ節に転移を認めた.以上から右側結腸癌に対する郭清術式を考察した.
索引用語
right side colon cancer, right hemicolectomy, arterial supply to the right side colon, lymph node metastasis of the colon cancer
日消外会誌 26: 2784-2792, 1993
別刷請求先
高島 茂樹 〒920-02 石川県河北郡内灘町大学1-1 金沢医科大学一般消化器外科
受理年月日
1993年9月8日
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