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第26巻 第12号 1993年12月 [目次] [全文 ( PDF 511KB)]
症例報告

髄外造血巣を伴う巨大肝血管筋脂肪腫の1例

村上 茂樹, 石賀 信史, 庄 達夫, 石原 清宏, 酒井 邦彦, 岩藤 真治, 藤井 康宏, 山本 泰久

おおもと病院

 心窩部痛を訴える27歳の女性の肝右葉に発生した肝血管筋脂肪腫の1例を経験した.腫瘍は肝右葉全域を占め(15×13×10 cm),肝右葉切除術を施行した.本疾患の画像所見の特徴は,腹部超音波検査で高エコー,computed tomography検査では低吸収領域,造影CT・血管造影では腫瘍濃染像として描出される.しかし,腫瘤内にある筋成分と脂肪成分との比率により,その画像所見は症例により徴妙に異なり,自験例は上記特徴を有していたが,なお血管腫との鑑別を要した.径2 cm以下の症例では肝細胞癌との鑑別は困難とされる.病理組織学的には,増生した大小の血管と成熟脂肪細胞,筋細胞の存在により診断される.自験例は腫瘍内に髄外造血巣を認めたが,これは肝血管筋脂肪腫に特異的な所見である.肝での悪性例の報告は認められないが,最近腎血管筋脂肪腫の平滑筋肉腫への悪性化が報告されており,経過観察する場合は注意が必要である.

索引用語
hepatic angiomyolipoma, extramedullary hematopoiesis

日消外会誌 26: 2841-2845, 1993

別刷請求先
村上 茂樹 〒700 岡山市大元1-1-5 おおもと病院

受理年月日
1993年9月8日

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