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第26巻 第12号 1993年12月 [目次] [全文 ( PDF 516KB)]
症例報告

腎摘19年後に膵,皮膚転移を認めた腎細胞癌の1例

本山 悟, 寺島 秀夫, 松岡 富男, 斉藤 昌宏, 阿保 七三郎**

平鹿総合病院外科, 秋田大学医学部第1病理, 同 第2外科**

 腎細胞癌の膵および皮膚への転移は他部に比べて極めてまれである.今回我々は右腎細胞癌にて右腎摘出後,19年経過してから膵,皮膚転移を認めた67歳の女性の1例を経験した.腎細胞癌根治手術後,5年以上経過してから膵転移を生じたのは,著者の検索しえたかぎりでは自験例を含めて18例であり,膵,皮膚への同時性転移に関しては2例目の報告である.診断にあたりnon functioning islet cell tumorとの鑑別に苦慮したが,病理学的に神経分泌顆粒がないことによって,腎細胞癌の転移巣であると断定した.その転移経路の確証は得られなかったものの,血行性転移が最も考えられた.またslow growthを示した要因として,腎細胞癌そのものの特性,患者の年齢,性,免疫状態,化学療法施行などの影響が考えられた.

索引用語
renal cell carcinoma, pancreas metastasis, skin metastasis

日消外会誌 26: 2859-2863, 1993

別刷請求先
本山 悟 〒010 秋田市本道1-1-1 秋田大学医学部第2外科

受理年月日
1993年9月8日

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