症例報告
小網リンパ管腫の1例
塩谷 雅文, 具 英成, 長畑 洋司
神戸大学第1外科学教室(主任:斎藤洋一教授)
小網リンパ管腫の1切除例を経験したので報告した.症例は56歳の女性で胆石症を合併しており,上腹部不快感を主訴として来院した.術前,腹部超音波検査,computed tomography検査およびmagnetic resonance imaging検査で網嚢内嚢腫と診断し,手術を施行した.開腹時所見としては,多房性の嚢腫が小網部を中心に存在し,小網原発と考えられた.摘出標本の大きさは12.0×5,0×3.4 cm,重量150 g,色調は暗赤色で平滑な被膜を有していた.術後の病理組織学的検討でリンパ管腫と診断された.小網リンパ管腫は比較的まれで,今回検索したかぎりでは本邦で25例が報告されたにすぎず,また術前診断がきわめて困難である.自験例を含め本邦報告例を集計し本疾患の診断および治療についての文献的考察を加えた.
索引用語
lymphangioma of the lesser omentum
日消外会誌 26: 2869-2873, 1993
別刷請求先
具 英成 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学第1外科
受理年月日
1993年9月8日
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