症例報告
遊離空腸片採取後に発生した腸重積症の4例
大村 健二, 金平 永二, 石田 文生, 足立 巌, 持木 大, 渡邊 洋宇
金沢大学第1外科
われわれは遊離空腸片採取後に発生した腸重積症の4例を経験した.いずれの症例にも,頸部食道癌もしくは下咽頭癌の診断で咽頭喉頭頸部食道切除術を行った.その際,頸部食道再建のため上部空腸より遊離空腸片を採取し,採取後の空腸断端はAlbert-Lembert縫合により端々に吻合した.4例ともに腸閉塞様の症状で発症し,保存的に加療するも症状の改善を認めず再手術を施行した.再手術前に腸重積症と診断可能であったのは1例のみであり,ほかは癒着性イレウスの術前診断であった.3例には先進部である空腸片採取後の吻合部を含めた腸管切除を行った.再手術後は腸重積症の再発を認めていない.トライツ靭帯の近傍に吻合が形成されることや,吻合部の浮腫が腸重積の誘因であると思われた.採取後の空腸断端の血行不良部を切除し,層々縫合によって吻合する方針とした以後は腸重積症の発生をみていない.
索引用語
free jejunal autograft, adult intussusception, postoperative intussusception
日消外会誌 26: 2879-2882, 1993
別刷請求先
大村 健二 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第1外科
受理年月日
1993年9月8日
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