原著
胃癌所属リンパ節における抗腫瘍性免疫能の検討
曽根 純之, 小玉 雅志, 小山 裕文, 小山 研二
秋田大学医学部第1外科
胃癌患者における所属リンパ節の抗腫瘍性免疫能を明らかにするため,胃癌所属リンパ節のCD4/CD8比,CD4+CD45RA-細胞の陽性率,およびBright CD8+CD11b-細胞の陽性率をflow cytometry法にて測定し,臨床病理学的因子との関連を検討した.その結果,所属リンパ節の抗腫瘍性免疫能が保持されているのは,深達度ではm症例,sm症例,pm症例,腫瘍径が40 mm以下,リンパ節転移陰性例,脈管侵襲陰性例,stage I症例であった.これらの免疫能保持に関わる因子は,ほとんどが早期胃癌のもつ因子であり,癌占居部位や腫瘍径,肉眼型の検討から転移のないリンパ節の一部を温存することが免疫学的見地からも有意義であると考えられた.また,原病死例と生存例との比較では,死亡例の所属リンパ節の抗腫瘍性免疫能が低下していた.
索引用語
regional lymph node of gastric cancer, antitumor immunity of gastric cancer, lymphcyte subset
別刷請求先
曽根 純之 〒010 秋田市本道1-1-1 秋田大学医学部第1外科
受理年月日
1993年10月13日
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