原著
胆管細胞癌の肉眼形態と臨床病理像の比較検討
山本 雅一, 高崎 健, 大坪 毅人, 吉川 達也, 中村 光司, 羽生 富士夫
東京女子医科大学消化器外科
胆管細胞癌切除60例の肉眼形態を,肝内主要胆管(区域,亜区域枝)との関係に着目して3型に分類し,臨床病理像を検討した.肝内主要胆管と関連がなく肝実質内に腫瘤を形成する結節型(nodulartype).主要胆管を中心に門脈域長軸方向へ進展し,胆管壁や肝実質内に漫潤する腫瘍を胆管周囲増殖型(periductal type).胆管内に乳頭状に発育する腫瘍を胆管内発育型(intraductal type)とした.結節型(28例)は無症状例(46%)が多く,慢性肝炎を36%に併発した.組織型は管状腺癌(68%)が主で,門脈腫瘍栓(36%),肝内転移(43%)が特徴的であった.胆管周囲増殖型(24例)では,黄疸(63%)が主症状で,肝内結石を21%に併存した.組織型は乳頭管状腺癌(58%)が多く,リンパ節転移を50%に認めた.胆管内発育型(8例)は腹痛(63%)が主症状で,組織型は乳頭腺癌(100%)であった.リンパ節転移(25%),肝内転移(13%)は他型と比較し少なかった.本肉眼形態分類は臨床病理象と密接な関連がみられ,病態把握に有用と考えられた.
索引用語
gross appearance of cholangiocellular carcinoma, clinicopathological features of cholangiocellular carcinoma
別刷請求先
山本 雅一 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学付属消化器病センター
受理年月日
1993年10月13日
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