原著
腹腔内抗菌剤投与に関する検討
児玉 節, 横山 隆*, 竹末 芳生, 沖田 光昭, 中光 篤志, 檜山 英三*, 今村 祐司, 村上 義昭, 山東 敬弘, 津村 裕昭, 平田 敏明, 宮本 勝也, 立本 直邦, 松浦 雄一郎
広島大学第1外科, 同 総合診療部*
抗菌剤腹腔内1回投与が全身投与よりも術後感染予防に有用であるかを検討した.消化器手術32例を対象にセフェム剤(3剤)を1 g点滴静注(DI),腹腔内投与(IP)し体内動態を測定した,IP群での腹水中濃度は投与後30分,1時間で1,000,300 µg/mlとDI群より有意に高い値が得られた.しかし,投与後4,6時間ではDI群と有意差のない値(4~2 µg/ml)となり,DI群に比べ有意の有効濃度の持続時間の廷長は得られなかった.一方,flomoxef sodium(FMOX)は大腸菌に対し400,40 µg/mlでおのおの2,4時間野接触時間で良好な殺菌効果を認めたが,4 µg/ml,6時間接触では殺菌効果は得られなかった.緑膿菌,メチシリン耐性ブドウ球菌ではFMOX 400 µg/ml,6時間接触時間でも殺菌作用は得られなかった.高濃度の持続時間で期待できないので抗菌剤腹腔内1回投与では,上記細菌.対象とした術後感染予防において全身投与以上の有用性は得られないと考えられた.
索引用語
topical antibitic administration, intraperitoneal administration, pharmacokinetics, bactericidal activity, endotoxin
別刷請求先
児玉 節 〒734 広島市南区霞1-2-3 広島大学医学部第1外科
受理年月日
1993年10月13日
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