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第27巻 第1号 1994年1月 [目次] [全文 ( PDF 445KB)]
症例報告

腹腔鏡下Taylor法迷走神経切離術の1例

金平 永二, 森 明弘, 疋島 一徳, 中村 寿彦, 宮崎 誠示, 大村 健二, 渡辺 洋宇

金沢大学第1外科, 医療法人社団南ケ丘病院外科

 われわれは本邦ではじめての腹腔鏡下Taylor法迷走神経切離術(後幹切離+胃小彎前壁漿膜筋層切開)を施行したので報告する.
 患者は19歳の男性で,14か月にわたリプロトンポンプ・インヒビターまたはH2ブロッカーを含む抗潰瘍薬による治療を継続したが,十二指腸潰瘍の再発を繰り返したため,迷走神経切離術の適応と考え手術を施行した.
 上腹部に挿入した5本のトラカールから腹腔内の操作を行った.まず食道裂孔部で迷走神経後幹を切離した.次に小彎線から1.5~2 cm離れた胃前壁で,crow's footの口側枝からHis角の後壁に至る範囲の漿膜筋層を切開した.切開部は縫合,閉鎖した.手術時間は3時間30分であった.
 術後胃排出能障害はみられず,内視鏡検査では十二指腸潰瘍は瘢痕治癒していた.胃酸分泌検査ではBAOおよびMAOの減酸率はそれぞれ93.3%,88.3%と良好であった.

索引用語
laparoscopic gastric vagotomy, chronic duodenal ulcer, laparoscopic surgery

日消外会誌 27: 97-101, 1994

別刷請求先
金平 永二 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第1外科

受理年月日
1993年9月8日

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