症例報告
胃原発mucosa-associaged lymphoid tissue lymphomaの1例
渡辺 俊一, 村上 望, 常塚 宣男, 加藤 明之, 平野 誠, 橘川 弘勝, 増田 信二1)
厚生連高岡病院外科, 同 病理科1)
症例は51歳の男性.平成3年3月から胃漬瘍で経過観察されていた.平成4年4月に行われた漬瘍部の生検にて胃悪性リンパ腫と診断された.当科にて胃亜全摘術を施行し,摘出標本を病理組織学的および免疫組織化学的に検討した結果,MALTリンパ腫と診断された.
Mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma(MALTリンパ腫)とは最近提唱された疾患概念であり,消化管などの上皮組織と密な関連を示しリンパ組織を有する節外性臓器に発生する悪性リンパ腫で,リンパ節に発生する節性リンパ腫とは臨床的にも組織学的にも著しい差異を呈する.MALTリンパ腫はreactive lymphoreticular hyperplasia(RLH)などとの鑑別がたびたび困難であり,また疾患自体の概念が浸透していないために見逃される場合も多く,今後再検討が必要である.
索引用語
mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma, B-cell lymphoma
別刷請求先
渡辺 俊一 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第1外科
受理年月日
1993年9月8日
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