症例報告
下血を主訴とし胃・小腸転移にて発見された乳癌の1例
片井 均, 洪 淳一, 和田 徳昭, 佐野 真, 前田 耕太郎, 山本 修美, 橋本 光正, 細田 洋一郎, 寺畑 信太郎*
社会保険埼玉中央病院外科, 防衛医科大学校病院検査部*
症例は57歳の女性で,下血を主訴として来院した.胃内視鏡検査で多発性のタコイボ様病変を認め,生検にて悪性リンパ腫と診断された.開腹時,空腸にも同様な病変を認めたため,胃全摘術および空腸部分切除術を施行した.切除標本の病理組織学検査では転移性胃・小腸癌と診断された.原発巣を検索したところ,右乳房に腫瘤を認め,組織診断が浸潤性乳管癌であったことより乳腺原発の同時性転移性胃・小腸癌と診断した.乳癌の胃・小腸転移が患者生存時に発見されることは少なく,なかでも初発乳癌において発見された本症例は極めてまれであると考えられた.
索引用語
breast cancer, synchronous gastric metastasis, synchronous intestinal metastasis
別刷請求先
片井 均 〒336 浦和市北浦和4-9-3 社会保険埼玉中央病院外科
受理年月日
1993年9月8日
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