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第27巻 第1号 1994年1月 [目次] [全文 ( PDF 516KB)]
症例報告

成人T細胞性白血病腫瘤により腸重積を併発した1例

目黒 英二1), 鈴木 克2), 菊地 充2), 亀井 真理2), 及川 和彦2), 富田 幸男2), 葛西 敏史3), 斎藤 和好1)

岩手医科大学第1外科1), 岩手県立宮古病院外科2), 岩手医科大学第2病理3)

 成人T細胞性白血病(adult T-cell leukemia:以下,ATLと略記)は通常全身リンパ節腫脹などの症状を示し,リンパ節以外への影響はまれである.我々はATLによる腫瘤が空腸に生じ腸重積を併発し,外科的治療を要した症例を経験した.症例は家族歴・既往歴に危険因子のない48歳の男性,急な心窩部痛を主訴に来院.腹部X線単純撮影にて鏡面形成を認め腸閉塞が疑われ,腹部computedtomography(以下,CTと略記)では拡張した小腸とその内腔への隆起性病変を認めた,末梢血検査にて核に切れ込みを有する異型リンパ球の出現を認め,ATLの診断がついた.入院後イレウス管を挿入し腸管内減圧を試みたが,一時期症状改善するも症状再発し,22日目に手術を施行した.開腹所見では腸重積を2か所認め,部分切除端々吻合および徒手整復にて修復した.末梢血および摘出標本組織におけるT細胞抗原と遺伝子プローブ検索により同型のATLの診断が得られ,腸重積を引き起こした腫瘤が明かにATLによるものと確診した.

索引用語
adult T-cell leukemia, tumor-forming leukemia, intussusception

日消外会誌 27: 135-139, 1994

別刷請求先
目黒 英二 〒020 盛岡市内丸19-1 岩手医科大学第1外科

受理年月日
1993年10月13日

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