症例報告
特発性門脈圧元進症に合併した人工肛門静脈瘤,食道静脈瘤の1治験例
黄 泰平, 中川 公彦, 小西 裕之, 高橋 由美子, 青野 豊一, 森友 猛
市立泉佐野病院外科
門脈圧亢進症により人工肛門に静脈瘤が発生したという本邦の報告は,検索の限り1991年の1例を認めるのみであった.最近,われわれは特発性門脈圧亢進症に人工肛門静脈瘤,食道静脈瘤が合併した1症例を経験したので報告する.
症例は40歳の男性で1988年10月,直腸癌に対してマイルズ手術が施行されていた.1989年12月頃より人工肛門よりの噴出性の出血を認めるようになった.1990年7月に人工肛門再造設術を行った.その後,特発性門脈圧亢進症に合併した人工肛門静脈瘤,食道静脈瘤と判明し,1991年5月に食道離断,脾静脈左腎静脈吻合を施行し良好な結果をえた.人工肛門静脈瘤の治療方針として,肝機能不良例では硬化療法やmucocutaneous disconnectionなどの局所治療が第1選択だが,肝機能良好な症例ではportasystemic shuntingがきわめて有効であると報告されている.
索引用語
stomal varices, idiopathic portal hypertension, portasystemic shunting
別刷請求先
中川 公彦 〒598 泉佐野市市場西3-2-1 市立泉佐野病院外科
受理年月日
1993年10月13日
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