卒後教育セミナー
食道・胃静脈瘤に対する選択的シャント手術
加藤 紘之
北海道大学医学部第2外科
食道・胃静脈瘤に対するシャント手術の改良が重ねられ,今日ではDSRS with SPGDとして術式の確立をみた.この手術を施行した60例の5年および8年累積生存率はともに78%と良好で肝癌死,他病死が死因の大多数を占めた.再出血は4例にみられたが,硬化療法などで対処可能であった.術後のQOLをみると社会復帰率は83.3%であり,P.S,0~1に属する例が97%であった.
このような良好な予後の得られた要因としては術式の改良によって再出血率が低下し,門脈肝血流量が長期的に維持されていることがあげられるとともに硬化療法を適時組み合わせた臨機応変の治療法の選択によるものと思われた.
肝予備機能比較的良好例で活動的社会生活を望む症例にはシャント手術が強く勧められるし,各種治療法の選択にあたっては第3者的コントローラーの必要性が痛感される.
索引用語
selective shunt operation, esophagogastric varices, disal spenorenal shunt with sprenopancreatic gastric disconnection
別刷請求先
加藤 紘之 〒060 札幌市北区北15条西7丁目 北海道大学医学部第2外科
受理年月日
1993年11月1日
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