症例報告
肝生検後のhemobiliaに対してTAEで止血しえた1例
酒井 良博, 初瀬 一夫, 市倉 隆, 玉熊 正悦, 入江 敏之*, 古井 滋*, 緒方 貞夫**
防衛医科大学校第1外科, 同 放射線科*, 緒長病院**
症例は77歳の男性.C型慢性肝炎で,肝生検を施行された.5日後に,吐血を認めたため内視鏡検査を施行したところ,十二指腸second portionに凝血塊がみられ,肝生検に由来したhemobiliaの疑いで当科に紹介された.CTにて胆管内および十二指腸に血腫の存在を疑わせるhigh density areaを認めた.さらに血管造影を施行したところ,腹腔動脈造影にて肝後下区域に分布する動脈にA-P shuntがみられた.この血管を出血部位と診断しTAEを施行しhemobiliaは治癒した.今後,肝生検を起因するhemobiliaが増加することが予想されるが,それに対する診断およびTAEの有用性を報告した.
索引用語
hemobilia, liver biopsy, transcatheter arterial embolization
別刷請求先
酒井 良博 〒359 所沢市並木3-2 防衛医科大学校第1外科
受理年月日
1993年11月1日
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