原著
胸骨後食道再建術における胸郭入口部の検討
島貫 公義, 宮田 道夫, 昌子 正實*, 澁澤 公行*, 早田 邦康, 甲斐 敏弘, 清崎 浩一, 佐竹 賢仰, 三角 芳文, 吉田 卓義
自治医科大学附属大宮医療センター外科, *自治医科大学消化器一般外科
大彎側形成胃管を用いた胸骨後食道再建術(用手吻合例)を施行し,術前computed tomography検査所見を用いて胸郭入口部の広さを評価しえた76例を,頸部食道一胃管吻合部の縫合不全を示したA群(41例)と縫合不全を認めなかったB群(35例)の2群に分類し,両群で比較検討した.鎖骨間距離(ICD)と胸骨一気管間距離(STD)の積である胸骨入口部面積(TIA),STDと胸骨一胸椎間距離(SVD)との比である気管位置比(TPR)を測定した.A群のICD値,STD値,TIA値,TPR値はB群と比較して有意に低値を示した.TIA値が400 mm2未満の症例(21例)の81.0%に,TPR値が0.4未満の症例(45例)の66.7%に縫合不全を認めた.以上より,縫合不全の一因として胸郭入口部の狭さが関与しているものと思われ,胸郭入口部の極度に狭い症例では予防的胸鎖関節切除術が必要と思われた.
索引用語
thoracic inlet space, retrosternal reconstruction after esophagectomy, leakage of esophagogastrostomy
別刷請求先
島貫 公義 〒330 大宮市天沼町1-847 自治医科大学大宮医療センター外科
受理年月日
1993年12月8日
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