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第27巻 第4号 1994年4月 [目次] [全文 ( PDF 757KB)]
原著

術前ステロイド剤投与による食道癌手術後生体反応の制御

佐山 淳造, 標葉 隆三郎, 横田 憲一, 平山 克, 樋ロ 則男, 大江 洋文, 中野 達也, 宮田 剛, 菅原 浩, 植田 治昌, 西平 哲郎, 森 昌造

東北大学医学部第2外科

 手術侵襲に対する過大な生体反応の制御を目的に,食道癌手術症例に対し手術開始2~3時間前にmethylprednisolone 250 mg/bodyを投与(B群:n=8)し, コントロール群(A郡:n=9)と比較検討した.心係数・平均肺動脈圧・肺動脈楔入圧の変動に差はなかったが,体重・水分1次出納はB群で1日早く回復した.術後頻拍はB群で有意に制御され,不整脈の発生もB群で少ない傾向であった.A群で術後著増したIL-6やG-CSFはB群では有意に産生が抑制され,尿中カテコールアミン排泄量もB群で著減した.耐糖能異常・術後感染・縫合不全などステロイド剤の副作用は術後みられず,術後のリンパ球数減少もB群で抑えられた.したがって,術前ステロイド投与は食道癌手術侵襲に対する過大な生体反応を主に循環系の面で抑制し,不整脈などの合併症発生を減少させうることが示唆され,胸部食道癌手術後の患者管理において非常に有用と考えられた.

索引用語
preoperative administration of steroid (methylprednisolone), surgery for esophageal carcinoma, control of postoperative reaction, inhibition of production of IL-6 and G-CSF

日消外会誌 27: 841-848, 1994

別刷請求先
佐山 淳造 〒980 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学医学部第2外科

受理年月日
1993年12月8日

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