原著
Proliferating cell nuclear antigen発現率からみた胃筋原性腫瘍の悪性度に関する検討
里本 一剛, 山際 裕史*, 大西 信行
大西病院, 三重大学医学部附属病院病理部*
切除胃に認められた筋原性腫瘍47例(平滑筋腫38例,low grade malignancyを含む平滑筋肉腫9例)を対象とし,臨床病理学的事項およびPCNA発現率の測定によりその悪性度に関して検討した.平滑筋肉腫では,平滑筋腫と比べ約5歳平均年齢が高く,潰瘍形成を伴うことが多く,平均腫瘍最大径が大きかった.Proliferating cell nuclear antigen(以下,PCNAと略記)発現率は,(mean±SD)平滑筋腫11.5±5.4%,平滑筋肉腫26.3±8.2%,正常胃壁固有筋層平滑筋細胞3.0±1.6%であった.平滑筋腫の中には18%以上の発現率を示すものが5例認められたが,平滑筋肉腫の発現率はすべて18%以上の値であった.我々の症例では,転移再発例は平滑筋肉腫の1例のみであるが,そのPCNA発現率は37.0%と高率であった.したがってPCNA発現率の測定は,胃筋原性腫瘍の良悪性の診断における1つの有力な指標となりうることが示唆された.
索引用語
smooth muscle tumors of the stomach, clinicopathological analysis, immunohistochemical detection, proliferating cell nuclear antigen
別刷請求先
里本 一剛 〒700 岡山市鹿田町2-5-1 岡山大学医学部第1外科
受理年月日
1993年12月8日
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