症例報告
日本住血吸虫虫卵が併存した原発性十二指腸癌の1切除例
島田 英昭, 軍司 祥雄, 落合 武徳, 磯野 可一
千葉大学第2外科
日本住血吸虫虫卵が併存した原発性十二指腸癌の1切除例を経験した.
症例は67歳の女性.胃集団検診にて異常を指摘され内視鏡にて十二指腸の腺癌と診断されたが手術を拒否した.2年後,食思不振と上腹部痛を主訴として来院.十二指腸球後部にBorrmann 2型様腫瘍を認めた.生検で管状腺癌の診断であり,腫瘍細胞と混在して日本住血吸虫卵が検出された.膵頭十二指腸切除術および膵頭部癌第1群のリンパ節郭清を施行した.病理学的には中分化型管状腺癌で一部膵被膜への浸潤を認めた.術後3年4か月で肝転移により死亡した.
原発性十二指腸癌は,消化管癌の中では比較的まれな疾患である.文献上検索しえた原発性十二指腸癌262例を含む原発性十二指腸悪性腫瘍計472例についての考察を加え報告する.日本住血吸虫症が併存した症例は本症例が第1例であった.
索引用語
duodenal cancer, schistosomiasis japonica malignant duodenal tumor
別刷請求先
島田 英昭 〒260 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第2外科
受理年月日
1993年12月8日
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