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第27巻 第4号 1994年4月 [目次] [全文 ( PDF 506KB)]
症例報告

腹腔内出血を来した出血性膵仮性嚢の1例

小林 道也, 緒方 卓郎, 荒木 京二郎, 松浦 喜美夫, 浜田 伸一, 山本 真也, 安藤 徹

高知医科大学第1外科

 膵仮性嚢胞内出血より腹腔内出血をきたし,手術により救命しえた1例を経験した.症例は84歳男性で突然,悪心と左側腹部痛を訴えショックとなり近医に緊急入院した.保存的治療でショック状態は改善したが腹腔試験穿刺で血性腹水を認め,腹腔内出血と診断された.その後,2度ショック状態となり,当科紹介入院となった.入院時ショック状態は輸血,輸液により改善していたが腹部は膨満し,全体に圧痛を認めた.検査成績では貧血,高血糖,低蛋白血症を認めたが膵酵素,腫瘍マーカーは正常であった.腹部超音波,CT検査で腹水と際尾部の腫瘤を認めた.腹腔動脈造影で脾動脈より造影剤の血管外への漏出と貯留を認め膵仮性嚢胞内への出血が疑われ緊急開腹術を施行した.開腹時約2,000 mlの血性腹水と膵尾部に直径約10 cm大で凝血塊が充満する腫瘤を認めた.膵尾側切除と脾摘出術を施行した.膵仮性嚢胞内出血から腹腔内出血をきたした報告例7例の検討を加えて報告する.

索引用語
pancreatic pseudocyst, intraabdominal bleeding, bleeding into the pacreas pseudocyst

日消外会誌 27: 912-916, 1994

別刷請求先
小林 道也 〒783 南国市岡豊町小蓮 高知医科大学第1外科

受理年月日
1993年12月8日

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