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第27巻 第4号 1994年4月 [目次] [全文 ( PDF 509KB)]
症例報告

鈍的腹部外傷による小腸狭窄の1例

蒲原 行雄, 山家 仁, 重岡 裕治, 吉永 啓, 青木 史一, 梶原 義史, 兼松 隆之

小波瀬病院外科, 長崎大学第2外科

 鈍的腹部外傷によって生じる小腸狭窄はまれな疾患である.今回われわれは,転倒による腹部打撲後に発症した小腸狭窄の1例を経験したので,本邦報告例の検討とともに報告する.
 症例は56歳の男性.バイク乗用中転倒し,下腹部を打撲し来院した.入院時の腹部超音波検査,computed tomography(CT)検査にて腹腔内出血を認めたが,保存的に軽快した.第14病日に腹痛と嘔吐が出現し,腹部単純X線撮影にて鏡面形成を伴う小腸ガスの増加を認めた.イレウス管を挿入し症状は軽減したが,小腸造影で回腸に全周性の狭窄を認めた.開腹にて回盲弁から50 cmの回腸の狭窄と周囲の腸間膜に瘢痕を認めた.腸切除を行い,術後経過は良好であった.
 病理学的検索にて,U1II-IIIの輪状潰瘍と炎症細胞の浸潤,および線維化を伴う肉芽組織の増生を認め,鈍的外傷による回腸の限局性の循環不全で生じた瘢痕狭窄と考えられた.

索引用語
abdominal blunt trauma, stenosis of the small bowel

日消外会誌 27: 922-926, 1994

別刷請求先
蒲原 行雄 〒800-03 福岡県京都郡苅田町新津1598 小波瀬病院外科

受理年月日
1993年12月8日

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