症例報告
直腸,S字状結腸子宮内膜症の2例
泉 泰治1)2), 松永 浩明1)2), 梶原 正章1)2), 明石 良夫1), 三好 晃1)
千早病院外科1), 九州大学第1外科2)
まったく異なった臨床経過をとった直腸,S字状結腸子宮内膜症の2例を経験したので病型と治療の違いを中心に報告した.症例1は血便を主訴としS字状結腸に粘膜下腫瘍様の隆起を認め生検にて子宮内膜症と確診しホルモン療法のみで軽快した.症例2は便秘を主訴とし各種検査では直腸癌を疑わせる所見であったが生検では確診つかず直腸低位前方切除をおこない切除標本にて子宮内膜症と診断された.症例1は粘膜面の子宮内膜腺による腫瘤とそこからの出血が主体でありいわゆるendometriomaであり,治療にあたって保存的か手術的かの選択が問類になると考えた.症例2は線維化による狭窄性変化が主体のdiffuse endometriosisと考えられ術前確診が困難なため癌との鑑別と過大侵襲の防止が問題になると考えた.
索引用語
endometrioma, diffuse endometriosis
別刷請求先
泉 泰治 〒812 福岡市東区馬出3-1-1 九州大学医学部第1外科
受理年月日
1993年12月8日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|