特集
胃癌におけるリンパ節転移の実態と予後からみた外科治療
北村 正次, 荒井 邦佳, 岩崎 善毅
東京都立駒込病院外科
胃癌の外科治療をリンパ節転移の実態と予後の面から検討した.早期胃癌のリンパ節転移・肉眼型・大きさの検討から,その程度に応じてm癌ではEMR(9%),外科的局所切除(35%),R1+No. 7郭清(56%)の術式が可能である.しかしsm癌ではほとんどがR2郭清術式が必要である.第2群の郭清効果はA領域癌で最も大きく,M,Cとなるに従い低下した.第3群リンパ節の郭清効果はA群のNo.12で最も大きく,その5年生存率は35%であり,ついでNo. 11,No. 14Vの順であった.M領域癌でもNo.12転移例の5年生存率は27%と良好な予後を示した.No. 16リンパ節転移の郭清効果ではP(-),H(-)症例の5年生存率は19%であった.これらの転移例のなかでn3(-)例の5年生存率は27%と良好であり,予防的郭清効果を期待しうると考えられた.今後この郭清効果については適応を一定にしたprospectiveな比較試験が必要である.
索引用語
surgical treatment, efficacy of lymph node dissection, paraaortic lymph node dissection
別刷請求先
北村 正次 〒113 文京区本駒込3-18-22 東京都立駒込病院外科
受理年月日
1993年12月8日
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