特集
深達度別にみた胃癌治療の現況と展望
平塚 正弘, 古河 洋, 岩永 剛, 中森 正二, 桝谷 誠三, 大東 弘明, 亀山 雅男, 佐々木 洋, 甲 利幸, 石川 治, 小山 博記, 今岡 真義
大阪府立成人病センター外科
胃癌が漿膜に露出すると,リンパ節転移陽性率が80%を超え,腹膜播種の危険性が高まり,肉眼型4型では後腹膜への浸潤も出現する.大動脈周囲リンパ節転移陽性例は予後不良で,5年生存率は17.7%であった.積極的に郭清を行った症例でも予後改善はなく,適応例の決定が必要である.腹膜再発の予防として漿膜露出胃癌の手術時にmitomycin C 40 mgを生理食塩水1,000 mlに溶解し,60分間閉鎖腹腔内に投与した.これはin vitroではInhibition Concentration 90(IC90)を満足する投与法であるが,臨床的には延命効果は認めたものの,腹膜播種を抑制することはできず,より有効な治療法の開発が必要である.4型胃癌は,肉眼的に他臓器に癌漫潤を認めなくても18%に組織学的癌浸潤が陽性で,局所を十分に摘除しうる超拡大手術法が必要で,Appleby法を伴った左上腹部内臓全摘術により,浸潤硬化型腹膜再発を抑制し,良好な遠隔成績が得られた.
索引用語
type 4 gastric cancer, microscopic invasion to adjacent organs, left upper abdominal evisceration
別刷請求先
平塚 正弘 〒537 大阪市東成区中道1-3-3 大阪府立成人病センター外科
受理年月日
1993年12月8日
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