特集
食道癌および胃癌におけるEカドヘリン,αカテニンの発現性とリンパ節転移との関連
井上 雅智, 塩崎 均, 田村 茂行, 門脇 隆敏, 松井 成生, 辻仲 利政, 村田 厚夫, 西蔦 準一, 森 武貞
大阪大学第2外科
上皮細胞間接着因子であるE型カドヘリン(以下,E-cad)とカドヘリンの膜裏打ちタンパクでその機能を制御しているαカテニン(以下,α-cat)の発現性を食道癌46例と胃癌54例につき免疫組織学的手法を用い調べた.また,分化度,浸潤様式,リンパ節転移との相関も検討した.食道癌でE-cad,α-catとも80.5%,胃癌でE-cadが57.5%,α-catが70.4%と高頻度に発現の減弱・消失が見られ,分化度と浸潤様式に有意の相関を認めた.リンパ節転移との相関は食道癌の転移陽性例でE-cad,α-catとも有意に低下していたが,胃癌ではα-catとのみ有意差を認めた.E-cadとα-catのcoexpressionをみるとα-catがE-cadより減弱・消失が高度である症例は食道癌で45.7%,胃癌で27.8%あり,このような症例で高いリンパ節転移率を示した.すなわちα-catはE-cadよりリンパ節転移とより高い相関を示し,今後術前の転移の検索に有用な因子となりうることが示唆された.
索引用語
E-cadherin, α-cat, lymphnode metastasis of esophageal gastric cancer
別刷請求先
井上 雅智 〒565 吹田市山田丘2-2 大阪大学医学部第2外科
受理年月日
1993年12月8日
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