症例報告
進行胃癌に隣接し絨毛状発育を呈した早期胃癌の2例
阪本 研一, 後藤 明彦, 多羅尾 信, 市橋 正嘉, 角 泰廣
羽島市民病院外科
進行胃癌と隣接し絨毛状発育を呈したきわめてまれな早期胃癌を2例経験したので報告する.症例1は食欲低下を主訴とする65歳の男性で,胃体下部から前庭部小彎側に5.0×5.0 cm大のBorr. 2型胃癌を認め,さらに隣接して2.0×2.0 cm大の絨毛状病変を認めた.症例2は吐血を主訴とする78歳の男性で,胃体下部後壁に5.0×5.0 cm大のBorr. 4型胃癌を認め,さらに隣接して4.0×3.0 cm大の絨毛状病変を認めた.2例とも進行胃癌は深達度ssγの低分化型腺癌で,絨毛状病変は肉眼的にも組織学的にも大腸vi1lous adenomaに類似した構造を有する高分化型腺癌で深達度はmであった.症例1は両病変の組織学的連続性を認めず多発癌と診断し,症例2は両病変は接してはいるが境界が明瞭なため衝突癌と診断した.
索引用語
villous-appearing gastric cancer, early gastric cancer, multiple gastric cancers
日消外会誌 27: 1065-1069, 1994
別刷請求先
阪本 研一 〒500 岐阜市司町40 岐阜大学医学部第1外科
受理年月日
1994年1月12日
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