症例報告
総胆管周囲・膵後面にガスが認められた急性気腫性胆嚢炎の1例
丹羽 篤朗, 三井 敬盛, 加藤 丈博, 小山 浩, 成田 守, 大和 俊信, 柴田 和男, 佐々木 信義, 角岡 秀彦
豊川市民病院外科
症例は70歳の男性で高血圧,糖尿病で当院内科に通院していた.就寝中に突然の上腹部痛が生じ,その後悪心,嘔吐,発熱が生じたため発症後2日目に当院を受診した.胸部X線検査で胆嚢の輪郭状のガス像を認め,腹部CTでは胆嚢壁内にガスを認めた.またガスは胆嚢壁だけでなく総胆管周囲,膵後面にも存在した,以上より急性気腫性胆嚢炎と診断し入院となった.状態が落ち着いていたため抗生剤の点滴投与による保存的治療を行い,第11病日に待機的に胆嚢摘出術を施行した.病理診断では壊疽性胆嚢炎であった.術後経過は順調で術後13日目に退院した.我々が本邦文献で調べえた限りでは胆嚢壁のガスが総胆管周囲,膵後面まで達した症例の報告はなく自験例は極めてまれな症例と思われた.
索引用語
acute emphysematous cholecystitis, gas gangrene, non-calculous cholecystitis
日消外会誌 27: 1094-1098, 1994
別刷請求先
丹羽 篤朗 〒442 豊川市光明町1-19 豊川市民病院外科
受理年月日
1994年1月12日
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