症例報告
多発性神経鞘腫症例において後腹膜および縦隔巨大神経鞘腫を切除した1例
宮代 勲, 辻仲 利政, 田村 純人, 塩崎 均, 門田 守人, 森 武貞
大阪大学医学部第2外科
多発性神経鞘腫症例に伴って生じた後腹膜および縦隔の巨大神経鞘腫の1切除例を経験したので報告する.症例は多発性脊髄神経鞘腫および聴神経輸腫の手術既往のある46歳の男性で,家族歴には特記すべきものはなかった.脳神経外科手術時に巨大な縦隔および後腹膜腫瘍を指摘された.masseffectが無視しえず,また悪性化が否定しえないため,切除目的で当科紹介となった.巨大腫瘍切除に際して,本症例では右第6肋間開胸に腹部横切開を加えたアプローチを用いて良好な視野を得られ,副損傷もなく切除が可能であった.腫瘍の切除総重量は1,800 gであり,組織学的には神経鞘腫であった.
神経鞘腫は一般的に単発性で多発例はまれとされている.多発例ではvon Recklinghausen病との関連が問題となるが,本症例ではcafe-au-lait-spots,皮膚腫瘍,その他内臓腫瘍の合併はなく,神経鞘腫の多発例と考えられた.
索引用語
multiple neurilemmoma, neurilemmomatosis, large mediastinal and retroperitoneal tumors
日消外会誌 27: 1099-1102, 1994
別刷請求先
宮代 勲 〒565 吹田市山田丘2-2 大阪大学医学部第2外科
受理年月日
1993年12月8日
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