症例報告
術後異なる部位に再発した成人原発性小腸軸捻転の1手術例
舟山 裕士, 佐々木 巖, 宮下 英士*, 溝井 賢幸, 土井 孝志, 松野 正紀
東北大学第1外科, 永野病院*
症例は69歳の男性.腹部手術の既往はない.1990年5月突然激烈な左下腹部痛が出現し,急性腹症の診断にて開腹したところ,回腸の一部が180度時計方向に軸捻転をおこしていた.小腸の血流は良好であったため,捻転整復のみにて閉腹した.術後,退院し何事もなく生活していたが,1993年1月再び腹痛を訴え,小腸軸捻転の再発の疑いにて開腹した.開腹したところ中部小腸が反時計方向に360度軸捻転を生じておりその間の腸管は壊死状態であった.捻転部を解除し壊死腸管を切除し腸管を端々吻合にて再建した.術後経過は良好で現在再発は認められていない.成人の原発性小腸軸捻転症は本邦ではまれな疾患でこれまでに11例の報告があるのみである.また,これまでに再発の報告はなく,本症例が最初である.
索引用語
relapsing volvulus, primary volvulus of the small intestine in adult
日消外会誌 27: 1113-1116, 1994
別刷請求先
舟山 裕士 〒980 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学医学部第1外科
受理年月日
1994年1月12日
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