肝・膵同時性転移を伴った直腸カルチノイドの1例

栗栖　泰郎, 倉吉　和夫, 星野　和義, 菅沢　章, 木村　修, 浜副　隆一, 貝原　信明

鳥取大学第1外科

　症例は70歳の女性．血便，下痢，体重減少を主訴に当院を受診し，直腸指診で巨大な腫瘤が触知された．下部消化管の注腸造影，内視鏡検査，computed tomographyにて，子宮，膣浸潤を伴う巨大直腸腫瘍，膵腫瘍，多発性転移性肝腫瘍と診断され，生検にてカルチノイドが最も疑われた．直腸切断術，子宮・膣後壁合併切除術，膵尾部・脾合併切除術，肝腫瘍生検術，肝動脈内カテーテル留置術を施行した．切除標本の組織所見，免疫組織所見，電子顕微鏡所見では直腸，膵，肝いずれも同一の所見であり，直腸カルチノイドの肝，膵同時性転移と診断された．術後1年を経過した現在，肝転移巣の増大を認めるが，外来で肝動注化学療法を続け，生存中である．

索引用語
metastasis to the pancreas, carcinoid tumor of the rectum, immunohistochemistry

別刷請求先
栗栖　泰郎　〒683　米子市西町36-1　鳥取大学医学部第1外科

受理年月日
1994年1月12日

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