臨床病理学的因子と遠隔成績からみた胸部食道表在癌の治療方針の検討

佐山　淳造, 菅原　浩, 標葉　隆三郎, 平山　克, 西平　哲郎, 森　昌造

東北大学医学部第2外科

　胸部食道表在癌切除例88例（ep14，mm13，sm61）の臨床病理学的因子・遠隔成績を調査し，表在癌の治療方針を検討した．ep癌は全例n（-）・lyv（-）で，術後再発なく5生率100％であった．mm癌の5生率は83.3％と良好であったが，mm₃癌ではリンパ節転移例や再発例が存在した．sm癌の5生率は64.5％と不良であり，粘膜下層への浸潤の程度や脈管侵襲の有無と関連する傾向を示したが，リンパ節転移の有無による生存率の差は認められなかった．また，術後T字型照射＋化学療法あるいは強力癌化学療法施行例が他の症例より生存率が良い傾向であった．sm癌再発8例のうちIm・sm_2,3の5例は頸部リンパ節の再発であった．以上から，ep～mm_1,2癌では非開胸食道抜去のみで十分根治性を得られるが，mm₃～sm癌にはリンパ節郭清と術後の十分な合併治療が必要で，特にsm_2,3でIuやImの症例には頸部リンパ節郭清も考慮すべきと考えられる．　

索引用語
superficial esophageal cancer, esophageal mucosal cancer, surgery for superficial esophageal cancer, postoperative adjuvant therapies for superficial esophageal cancer

別刷請求先
佐山　淳造　〒980　仙台市青葉区星陵町1-1　東北大学医学部第2外科

受理年月日
1994年2月9日

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