胃全摘術後長期生存患者の栄養評価

寺嶋　雅史

千葉大学第1外科

　胃全摘術後長期生存患者のquality of lifeの向上のためには，術後長期を経て起こる栄養学的な病態を明らかにすることが必要である．対象は胃癌患者の胃全摘群で，これを対照のやはり胃癌患者の幽門側胃切除群と比較検討した．検索項目は，Blackburnらの栄養・代謝指標と血中微量栄養素および栄養摂取量調査である．対象者の身体計測値は，10～40％の低下例がみられたが，臓器蛋白，細胞性免疫能はほぼ正常で，marasmus typeの栄養障害と判定できた．さらに全摘群では，ビタミンE，ビタミンB₁₂，亜鉛で対照に比べ有意の低下が認められた．しかし食事摂取量は，全摘群では，ほぼ満足できる量を摂取していることもわかった．全摘群の栄養障害は，3大栄養素および微量栄養素の消化吸収低下が示唆された．以上を念頭におき，全摘群にきめ細かな栄養管理を行うことにより，quality of lifeの向上が期待できる．

索引用語
nutritional assessment in patients following total gastrectomy, quality of life after total gastrectomy, nutritional and metabolic parameters after gastrectomy, calorie intake, vitamins and trace minerals

別刷請求先
寺嶋　雅史　〒260　千葉市中央区亥鼻1-8-1　千葉大学第1外科

受理年月日
1994年2月9日

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