原著
肝胆道シンチグラフィーを用いた胃癌切除後の胆汁流出動態の解析
秋山 高儀, 瀬戸 啓太郎, 斎藤 人志, 桐山 正人, 冨田 冨士夫, 小坂 健夫, 喜多 一郎, 高島 茂樹
金沢医科大学一般消化器外科
胃癌切除後胆石症の成因を解明するため,肝胆道シンチグラフィーを用い,胃癌切除後の胆汁排泄態を検索した.対象は胆嚢摘除併施R2以上リンパ節郭清胃癌切除例22例(以下,胃切群と略記)で,胆嚢摘除術症例28例(以下,胆摘群と略記)と比較した.方法は99mTc-PMT肝胆道シンチグラムのtime activity curveから肝右葉,肝左葉,総胆管のpeak timeと十二指腸出現時間を求め,両群間で比較した.また,胃切群では総胆管径,切除術式,再建術式,肝機能障害の有無,胆石の有無の影響を検討した.その結果,胃切群では胆摘群に比べ,いずれの検討項目でも胆汁流出遅廷が見られた.また,胃切群の胆汁流出遅延は総胆管拡張の程度と相関を示した.以上,胃癌切除後には胆汁流出遅廷が見られ,胃癌切除後胆石症の発生を促進するものと思われた.また,胆汁流出遅延が総胆管径と相関したことより,その原因として郭清に伴う神経切離による乳頭機能の異常の関与が推察された.
索引用語
choilithiasis following gastrectomy for gastric cancer, sphincter of Oddi, bile flow, 99mTc-N-pyridoxyl-5-methyltryptophan, hepatobiliary scintigraphy
日消外会誌 27: 1758-1764, 1994
別刷請求先
秋山 高儀 〒920-20 石川県河北郡内灘町大学1-1 金沢医科大学一般消化器外科
受理年月日
1994年2月9日
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