食道運動異常を伴った横隔膜上食道憩室の1治験例

綛野　進, 東野　正幸, 大杉　治司, 前川　憲昭, 徳原　太豪, 谷村　慎哉, 福長　洋介, 前田　史一, 徳山　彰俊, 木下　博明

大阪市立大学第2外科

　食道運動異常と胃食道逆流を伴う横隔膜上食道憩室に外科的な処置を加え良好な結果を得たので報告する．患者は71歳の女性で，嚥下困難を主訴として来院.上部消化管造影で下部食道に憩室を認め，内視鏡で憩室炎を認めた．食道内圧測定では憩室より上部の食道に嚥下に伴う正常な蠕動波が認められず，24時間食道内pH測定では明らかな酸逆流を認めた．
　手術としては経胸的憩室切除術にBelseyの噴門形成術を付加した．切除標本は組織学的には炎症所見のみで悪性所見はなかった．
　われわれは食道憩室では食道内圧測定や24時間食道内pH測定検査を行い，憩室切除術のみではなく病態に応じた付加治療を考慮すべきであると考える．

索引用語
esophageal diverticula, esophageal motility disorders, diverticulitis

別刷請求先
綛野　進　〒545　大阪市阿倍野区旭町1-5-7　大阪市立大学医学部第2外科

受理年月日
1994年2月9日

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