症例報告
腺癌との共存を認めた胃内分泌細胞癌の1例
永渕 一光, 西原 一善, 山元 啓文, 渡部 雅人, 広瀬 宣明, 御木 高志, 川上 克彦, 実藤 隼人*
国立小倉病院外科, 同 病理*
胃の内分泌細胞癌は,その組織像が肺の燕麦細胞癌に類似した比較的まれな腫瘍である.今回我々は胃内分泌細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は57歳の男性で上腹部不快感にて受診し,胃X線および内視鏡検査所見にて胃幽門部大彎に肉眼分類2型腫瘍を認めた.幽門側亜全摘術およびD2郭清術を施行した(2T3,N1,P0,M0,Stage IIIa).組織学的には一部粘膜側に高分化管状腺癌を認める以外は肺の小細胞癌に類似した小型の異型細胞が充実性に増殖しGrimelius染色に陽性で,免疫染色でもchromogranin A陽性であったため内分泌細胞癌と診断し,術後cisplatinum,etoposideを投与した.胃内分泌細胞癌は古典的カルチノイドと区別されていて発育・進展が早く予後不良と考えられている.この症例も脈管侵襲が強くリンパ節に転移がみられたことより,術後に肺の小細胞癌に準ずる化学療法を行った.
索引用語
endocrine carcinoma, small cell carcinoma, gastric neoplasm
日消外会誌 27: 1805-1809, 1994
別刷請求先
永渕 一光 〒802 北九州市小倉南区春ヶ丘10-1 国立小倉病院外科
受理年月日
1994年2月9日
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