症例報告
腹腔鏡下胆嚢摘出術術前spiral CT検査にて肝管走行異常を認めた胆石症の1例
權 雅憲, 上辻 章二, 井上 知久, 山田 修, 高井 惣一郎, 上山 泰男
関西医科大学第1外科
症例は24歳の女性で,平成4年夏頃より心窩部痛および背部痛を認め,他院にて胆嚢内結石を指摘され,経口胆石溶解剤による加療を受けていた.しかし症状の軽快がみとめられないため,平成5年4月12日当科入院となった.腹部超音波検査にて胆嚢底部にcomet signを伴ったadenomyomatosisを認め,さらに胆嚢内に多数の小結石を認めた.経静脈性胆道造影検査(DIC)にて胆嚢底部の壁肥厚と多数の小結石透亮像を認めたが,胆嚢管,総胆管は同定できなかった.DIC施行後の腹部spiral CTによる胆道系の立体再構成画像では,胆嚢管が右肝管に直接合流する副肝管を疑わせる所見をえた.腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)を施行し術中胆道造影にて胆嚢管が副肝管に合流する肝管走行異常を認めた.LC施行前検査としてのspiral CTの有用性と,術中胆管造影の積極的な施行が胆管損傷の予防に有用であると考えられた.
索引用語
accessory hepatic duct, laparoscopic cholecystectomy, spiral CT
日消外会誌 27: 1830-1834, 1994
別刷請求先
權 雅憲 〒570 守口市文園町1 関西医科大学第1外科
受理年月日
1994年2月9日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|