症例報告
産生粘液により胆道閉塞をきたした胆嚢粘液嚢胞腺腫の1例
船戸 善彦, 岸川 博隆, 中前 勝視, 遠山 竜也, 矢野 智紀, 水野 力*
名古屋市立城西病院外科, 名古屋市立大学第2病理*
症例は83歳の男性で,倦怠感を主訴として来院.血液検査で総ビリルビンが,2.2 mg/dlと上昇し,肝機能異常も認めた.腹部超音波検査と経皮経肝胆嚢造影では,胆嚢の体部から頸部に全周性の狭窄を認めた.内視鏡的逆行性胆管膵管造影では拡張した総胆管内を縦走する透亮像を認めた.Vater乳頭は腫大し,開口部より粘液の排出を認めた.粘液産生性の胆嚢腫瘍を疑い胆嚢摘出術を行った.切除標本では胆嚢壁の体頸部ほぼ全面に粘桐性の粘液が付着していた.病理組織診断では粘液産生細胞が微小嚢胞や乳頭を形成して腺腫様に増生しており粘液嚢胞腺腫と診断した.腫瘍の占居部位は粘液の付着部に一致していた.術後経過は良好であった.胆嚢粘液嚢胞腺腫および,本疾患による粘液性胆道閉塞の報告は本例が初めてである.
索引用語
mucinous cystadenoma of the gallblandder
日消外会誌 27: 1839-1842, 1994
別刷請求先
船戸 善彦 〒453 名古屋市中村区北畑町4-1 名古屋市立城西病院外科
受理年月日
1994年2月9日
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