症例報告
膵胆道癌に対する細径超音波プローブによる経門脈的エコーの経験
渡辺 修1)2), 土屋 嘉昭1), 牧野 春彦1), 筒井 光廣1), 梨本 篤1), 佐野 宗明1), 佐々木 壽英1)
新潟県立がんセンター外科1), 東京女子医科大学付属第二病院外科2)
門脈内に細径超音波プロープを挿入し観察を行った(transportal ultrasonography:以下,TPUSと略記)ので報告する.使用した細径超音波プローブは,外径2.4 mm.そのスキャナーは,メカニカルラジアル走査方式,周波数15 MHzである.この細径超音波プローブを術中に空腸静脈より挿入し,門脈へと誘導していく.TPUSにより,門脈内腫瘍を診断しえた胆管癌症例を呈示する.患者は74歳の女性で,黄疸を主訴に来院.CTにて肝十二指腸間膜背側に径9 cmの腫瘤および肝内胆管の拡張を認めた.術中TPUSを行うと,門脈内に腫瘤像が描出され,その部位での門脈壁は厚く,腫瘍と連続していたため門脈内浸潤ありと診断した.術前の血管造影では,門脈内腫瘍の診断は困難であった.また,膵癌による門脈浸潤がある症例にも施行し,浸潤部位の門脈壁が厚く高輝度に描出された.TPUSは術前診断困難な腫瘍の進展を描出できるなど,手術術式を左右するような情報を提供することもあり有用である.
索引用語
transportal ultrasonography, microscanner, ultrasonic micro-probe, biliary tract and pancreatic cancer, portal vein
日消外会誌 27: 1843-1847, 1994
別刷請求先
渡辺 修 〒116 東京都荒川区西尾久2-1-10 東京女子医科大学付属第二病院外科
受理年月日
1994年2月9日
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