膵のsolid and cystic tumorの1男性例

須藤　幸一, 大内　明夫, 徳村　弘実, 今岡　洋一, 山本　協二, 松代　隆

東北労災病院外科

　膵のsolid and cystic tumor（以下，SCTと略記）の1男性例を経験したので報告する．症例は67歳の男性で前立腺肥大の精査中，腹部computed tomography（以下，CTと略記）検査にて膵腫瘍を指摘され当科入院となった．腹部ultrasonogram，CTにて膵頭部に充実性部分の混在する嚢胞性腫瘍を認め，Endoscopic retrograde cholangiopancreatographyでは主膵管の中断像と総胆管の圧排狭窄像がみられた．膵嚢胞性腫瘍の診断のもと膵頭十二指腸切除術を施行した．腫瘍は被膜を有する55×5.5×5 cmの充実性部分と嚢胞状部分からなり，充実性部分には出血壊死変性を認めた．病理組織学的には腫瘍細胞は類円形小型の核を持ち，充実シート状に増殖していた．免疫組織化学的にはα₁-antitrypsinに対して陽性を示した．以上の組織学的検索よりSCTと診断した．本症が若年女性優位に発症する原因は明らかではないが，本邦報告126例（自験例を含む）の文献的考察を加えて報告する．

索引用語
solid and cystic tumor of the pancreas, pancreatoduodenectomy

別刷請求先
須藤　幸一　〒990-23　山形市飯田西2-2-2　山形大学医学部第1外科

受理年月日
1994年2月9日

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