症例報告
肺癌小腸転移の2切除例
山本 眞也*, 河本 知二, 久米川 啓, 森 誠治, 田中 聰
香川医科大学第1外科(*現 坂出市立病院外科)
肺癌小腸転移の2切除例を経験したので報告する.
症例1は58歳の男性.右B1a原発の扁平上皮癌で,胸壁浸潤と縦隔リンパ節転移を認め,放射線療法と化学療法を施行した.貧血と下血に対する精査で転移性小腸腫瘍と疑診した.Treiz靭帯から220 cmの空腸に手拳大の腫瘤があり,腸間膜リンパ節腫脹も認めたため,空腸部分切除を行った.術後,脳,副腎,肝転移が出現し,放射線療法と化学療法を行ったが,11か月後に死亡した.症例2は69歳の男性.右B3原発の腺癌で,右頸部と右腋窩リンパ節転移,右胸水を認めた.放射線療法と化学療法の施行中,急に腹痛,発熱が出現し,汎発性腹膜炎と診断した.Treiz靱帯から170 cmの空腸に穿孔を認めたため空腸部分切除を行い,病理学的検索で穿孔部に肺癌の転移を認めた.術後化学療法を再び行ったが,49日後に死亡した.
索引用語
lung cancer, small intestinal metastasis
日消外会誌 27: 1853-1857, 1994
別刷請求先
山本 眞也 〒762 坂出市文京町1-6-43 坂出市立病院外科
受理年月日
1994年2月9日
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