症例報告
小腸壊死を伴った成人腸回転異常症(paraduodenal hernia)の1治験例
和田 哲成, 安積 靖友, 川北 直人, 長畑 洋司, 斎藤 洋一
神戸大学第1外科
小腸広範囲壊死を伴った成人腸回転異常症例を経験した.症例は32歳の女性で,10年来頻回に上腹部痛と嘔吐を認めていた.今回上腹部激痛と腹水貯留のため腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.開腹所見は上部小腸の回転異常を認め,Wangの分類ではright paraduodenal hernia typeで小腸の壊死を伴っていたので約2.5 mの長さの小腸切除を行った.腸回転異常症は乳幼児期に発見されることが多く,成人に手術治療を要することは極めてまれで,今回検索しえた範囲では本邦報告例は自験例を含め16例にすぎず,このうち小腸壊死を合併したparaduodenal hernia typeは自験例だけであった.
索引用語
adult malrotation, paraduodenal hernia
日消外会誌 27: 1858-1861, 1994
別刷請求先
和田 哲成 〒650 神戸市中央区楠町7-5-1 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1994年1月12日
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